
ジャパン アヴァンギャルドの父、山本寛斎。
ロンドンでは日本人として初めてファッションショーを、
ソ連崩壊直後のロシアでは世界で
初めてモスクワ「赤の広場」の使用許可を得て
ライブイベントを開催。
独自のクリエーションを武器に、
あらゆる場面で新たな道を切り開いてきた
美の世界の開拓者である。
強烈な色彩にあふれ、
日本の伝統美に革新的な解釈を加えた斬新なデザインは、
時代の先端をゆくアーティストをも虜にした。
なかでもその才能に惚れ込んだデヴィッド ボウイとは、
衣装製作をきっかけに終生強い絆で結ばれることになる。
1970年代以降、パリ、ニューヨーク、
東京と世界のコレクションに参加してデザイナーとして
活躍するが、自分以外の誰にも真似できない
表現方法はないかとつねに模索し続けた。
そうしてファッション、音楽、
カルチャーのすべてを取り込んで確立したのが、
独自の総合芸術“スーパーショー”である。
晩年は日本元気プロジェクト「スーパーエネルギー!!」を
ライフワークに、日本から世界に“元気”を発信。
2019年にブランド創立50周年を迎え、2020年新たな
プロジェクトに取り掛かっていた最中の訃報であった。
自らの生き様をもってアヴァンギャルドを体現した
“美の巨人”に、心よりご冥福をお祈り申し上げます。